亡国の民と国家

会員の主張・小論
岩手県本部 会員の主張・小論  令和3年3月6日

亡国の民と国家

S・Y


 亡国というとユダヤ民族が頭に浮かぶ。ご存じのように紀元前は12世紀古代エジプト王朝による奴隷生活からモーゼに導かれカナンの地に帰還後、8世紀のアッシリア帝国による強制移住、6世紀の新バビロニア帝国による所謂バビロンの捕囚があり、紀元後には70年と131年のローマ帝国の攻撃(エルサレム戦争)により国家自体を失って当てもなく世界を流浪する身となったユダヤ民族の所謂ディアスポラ(離散)である。この時から第二次世界大戦後現在地にイスラエルを建国するまでの約1,800年間、ユダヤ民族は多くの差別と迫害等を受けながら世界各地を流浪する亡国の民となった。

このイスラエル建国とその後の国家維持は、当時のイギリスの中東地域への勢力拡大の思惑が絡んだバルフオア宣言によるユダヤ民族居住区承認、世界の同情、ユダヤ民族の不屈の建国運動(シオニズム)や建国後の命を懸けた国土防衛などによるものであろう。

一旦国を失えばその地に多くの民族が住み着き国家を建設したりで他国となり、何世紀も経過すれば国を再建することなど殆ど不可能となろう。1948年に建国したイスラエルの場合は、たまたま当時の国際情勢が有利に働いたことが幸いしたのだろう。

わが日本も歴史的には鎌倉時代に当時の世界大帝国の蒙古に攻められもしも神風と称する大暴風雨がなければ如何に鎌倉武士が命を賭して勇敢に戦っても亡国の恐れは十分にあったと思う。

我々は普段他国人から迫害や差別等をされることなく平穏に日本の国に住み各種の恩恵を受けているのが当たり前で何ら感謝することなく過ごしているが、もし国が他国に侵略されたり、日本沈没クラスの大災害が発生したりしたら多くの国民が命を失うばかりでなく、侵略や崩壊した国土から逃れるため、他国の世話にならねばならず、難民受け入れの関係で親子、夫婦、恋人同士など愛する者が別々の国に離散しなければならない未曽有の悲惨な事態も当然起こりうるだろう。更に侵略を受けても難民として受け入れてくれる国もなく自国に止まる場合、ウイグルなどに見られるように侵略者が中国のような場合は大虐殺やジェノサイド(民族浄化)、よくても奴隷生活は免れないだろう。特に反日デマ教育が徹底している中国による侵略の場合はその悲惨さはウイグルをはるかに超えるだろう。

そんな大悲劇をそれこそ紀元前から何世紀も味わってきたユダヤ民族は国の有難さを遺伝子に焼き付けているせいか、建国後、中東で多くのアラブ諸国を敵に回しても挫けることなく完璧な国防体制を維持し、それこそ命がけで多くの敵を相手に勝利し立派に国を防衛維持している。勿論、国際ニュースで見るように敵に対する容赦のない反撃には多くの批判等はあるが、イスラエルの場合そうでなければこの国はとっくに破滅していたであろう。

現在、日本を取り巻く情勢は、世界覇権を目論む中国や暴走する北朝鮮が既に日本に向け多くの核ミサイルを配備するとともに、尖閣周辺侵攻や拉致問題等の侵略敵対行為を仕掛けているほか、ロシアの北方領土侵略や同盟国の韓国にさえ竹島を占領されているのに何一つ反撃できないという独立主権国家として実に情けない状態にある。

こんな状態にした根本原因はGHQ占領下に押し付けられた独立主権国家としての備えるべき通常の防衛のための軍事力さえ保有できない日本弱体化の現行憲法にある。

我々日本国民は日頃の主義主張は異なっても最低限、自主独立の主権国家を維持できる防衛体制だけは確保すべきであると考える。そのためにはできるだけ速やかに憲法改正を実現し、我々世代だけでなく愛すべき子々孫々にこの素晴らしい日本を残していくことが現在この国土に生きる我々国民の重大な責務と考える。 最後に、国破れて山河ありではないが、国滅んで憲法9条の紙切れ残るなどという日本民族史上取り返しのつかない愚かな日本の地獄絵図だけは絶対許してはならないと願うものである。

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