日本の政治への懸念

会員の主張・小論

承知の通り、日本は世界最長で唯一とも言える2,000年を超える国の歴史、そして伝統と文化がある。

それは、連綿として途切れることなく今にも繋がれている素晴らしい国である。

また日本には、さしたる宗教戦争がない、それと民族間の争いもない。また犯罪の発生率も他国に比べ真に少なく国民もルールを守る国柄の良い誠に恵まれた国である。

 しかし、日本はかつて大東亜戦争でひどい目にあった。日本全国主要都市は国際法無視、無差別の大規模な爆撃攻撃を受け、実験とも言われる2種の原爆の投下までされて、日本の主要な国土は殆ど多くが灰塵に伏したと言って良い戦争の災禍であった。

 

しかし、殆どゼロから再出発した日本の戦後復興は目覚ましいものであった。

経済の発展も、世界の国々にも目を見張られるような見事さであった。その素晴しい日本の復興は官民一体の戦後の政治の良さだったのか?いや政治が不充分でも、経済を発展させる民間の活力は充分にあったのである。日本人にはそれだけの気骨と力があったのである。

しかし、戦後の発展の中でも言われた有名な言葉を知っているだろうか?

  

  “日本は経済一流、政治三流”

この言葉が度々メディアにのり、かつて小沢一郎自民党幹事長が、その事実を認めず反発して、記者団との集まりでその言葉に嚙みついたのは有名な事実である。

しかし、その彼はなぜか変節して自民党に見切りをつけ、民主党の道を歩み、今までの主張と反対のことを言い続けたのは承知の通りである。

 しかし、今の日本を見て欲しい。

日本人の生命を支える食料自給率は先進国で最低レベルになった。

日本人の生活を支えるエネルギー自給率もこれまた先進国で最低。

他方、日本の国防力はどうなっているのか?隣国がどんどん軍事力を高めているのに日本の国防力はアメリカ頼り、日本の国防に関する産業は衰退を続けている。世界は防衛力を年々高めている現実があるのに。

承知の通りウクライナは核を放棄したのが裏目に出て、ロシアの大侵攻を受けた。着々と核の攻撃力を進める中国、ロシア、北朝鮮。世界を見ると第2次大戦終結の頃の世界人口は25億人、今は80億人。もう3倍を超えている。2050年には98億人の予測。

そうでなくても、こんなに人口が増えたら国家間の対立、抗争が起きやすくなるのは当たり前だ。いづれ日本にも難民問題が起きると思う。日本にその予測と対策はあるのか。

中国が核弾頭1,500発の準備を進めているのに、“日本は非核三原則を守る”と首相は言った。“世界の核の放棄に努力する”と夢のようなことを言った。喜んだのは中国、ロシア、アメリカ、北朝鮮ではないのか?アメリカも兎も角、核の拡散を恐れている。首相は広島県の知事ではない。日本の国民の命を守る責任があるのだ。世界各国の生き残り、厳しい抗争の現実には冷静に対処すべきだ。

戦後の政治の問題の極みは、日本の根本中の根本、日本の憲法、つまり占領憲法とも言えるそのあり方だ。終戦の翌年、新憲法が公布されてから77年になる。この間、日本も大きく変わり、それ以上に世界は激変した。

もとからして憲法は国の要そのもの。しかしもはや日本の憲法は現実の世界の実体に合っていない。政府はやるべき大切なことをやっていない。こんなことは国の発展に努力した先人に対しても恥ずべきことだ。

日本の政治は、こんな判り切ったことさえもできていない。同じ敗戦国ドイツは改正は65回を超えた。憲法の内容をあくまで現実に合わせているからだ。自民党の憲法改正は50年近く“口先き”だけ。メディアにも問題があるが、他国から見てもおかしいと思うだろう。当然野党にも責任がある。

国柄として日本は非常に良いのに、しかし、かつて強かった日本の経済も、いよいよ危なくなってきた。給料が上がらない期間が20年を超える。人口も減り始めた。日本の今の人口1億2,500万人が2050年には8,500万人になるのはほぼ確実になってきた。人口減対策も失敗続きである。何らこのような重要な事実に対処できない老人国家日本を世界は信頼するのだろうか?日本は世界のリーダーの1つとなれる国たるのか?日本人としての気概はどうなったのか?

 そもそも、日本は国を支える、また世界的にも指導者なれる大型のリーダーの育成に教育行政として成功しているのだろうか?インドと中国では、エクセレントな大型人材の育成に成功しつつあるように見える。それが現実に政治の中核になり、能力が発揮されつつあるようだ。日本の優良大学は本当に国を支える人材を育てる機能を果たしているのか?

国際的に見て、結果を伴っていない日本の政治家は野党を含め世界に通用する能力を持った人達と言えるのだろうか。日本の政治は相変わらず進化できていない。その未熟さが国全体にも及びつつあるように見える。今の政治に多くの国民は不安を抱いているはずだ。

日本の将来に大きく関わっているのは隣国中国の動向である。

メディアでは余り報道しないが、いまの中国の経済規模はロシアの比ではない。人口は10倍ならば、経済規模GDPも10倍ある。ロシアは表に出ない地下経済の規模も相当あるというが、それは国としての力とは言えない。

中国は軍事力も急速に高めていて、アメリカの予測では中国の核弾頭の現在の数400発を2035年には1,500発まで増やす計画を進めているとしている。

今や、中国は自国の力に自信を持ち始めた。もう中国は習近平の独裁体制の下、米国との対決を恐れていない。国際法とか国連の決定、拘束も無視し始めた。

承知の通り、中国は大変したたかな国である。自らの正体を見せない。外部を欺き、油断させる、そんな姿勢のまま、世界の絶対的TOPを目指しつつある。

 今まで、アメリカも日本も中国の本当の体質を知らず、むしろ成長を促してきた。しかし、ようやく最近になって、中国の怖さを理解しはじめた。

 中国の面倒な処は、共産党独裁の社会主義国家ということだ。マルクス・レーニン主義を基本としたその思想は自由主義の基をなす企業家なるものに強い嫉妬と憎悪を内在しているということである。その上、宗教心をも否定している。だから政治は冷徹そのものだ。現在中国は社会主義的思考と歴史的に独裁者を生む閉鎖的体質が複雑にからみあっている。

情報工作も真に巧みで、他国同様に、日本もメディア、政府、学者、経済界その他多くの面でも工作されている。日本への工作員も3万人を超えた大規模なものだ。日本の中国への経済援助、ODAの金額は累計で見ると途方もない巨額なものである。でも今や、中国人は日本の土地を各地で買い始めている。瀬戸内海の小島も買われ始めているという。北海道での活動が特に盛んだが、北海道の中国人の人口はもう68万人にもなっているという。

中国は永年かけて、中国人に反日教育を続けてきた。不思議なことに日本側は中国の体質を考慮せず、援助し、むしろ自ら経済の比重をかけてきた。なぜこれ程に警戒心がないのか。日本の政府、経済人の思慮の浅さにはあきれる程である。世界の感覚からズレている日本の性善説の体質の危うさでもある。

中国とロシアは隣国同士でも体質が異っているものの、今やウクライナ戦争を契機に急速に関係を深めつつある。この2国は、長い国境線を持った隣国、しかも相互にとって経済面、軍事面、資源、食料で交換できる必要なものを持っている。

この2国に北朝鮮が加わったらどうなるか?これは相当に現実を帯びつつある。

いずれ中国を中心とする専制国家群と欧米を中核とする自由主義国家群との大型の対決は始まりつつある。

日本政府は場当たりな的判断をやめて、しっかり定見を持ってほしい。世界は新局面を迎えつつある。

日本政府は筋肉質の民間人も入れた能力主義の体質を強めて、自民党自身が政治の構造を変えて大脱皮すべきである。残念ながら日本政府は先見性とリーダーシップを持たずして、進化を止めている。

こんなことを長く続けては日本が危くなる。       

M・K

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