読んでみて欲しい、日本に帰化した中国人、漫画家 孫向文さんの本

今月の主張

 本の名は「中国人の僕が日本に帰化した理由(わけ)」(WAC)である。彼は日本のマンガに親しみ、幼い頃から日本に移住したかったという。しかし、中国では、日本人好きは、「売国奴」とされ、反日運動一色、そんな環境の中で彼は育った。でも世界一のサブカルチャー大国日本で“日本流のマンガを描きたい”との願いが強かった。
その結果、2021年2月、ついに日本に帰化することができた。まだ一年たらずで書いた本だが、彼の日本についての博識には驚かされる。興味深いことに中国人の目を通して、マンガの世界から日本の姿が良く見えてくるのである。マンガ家から見えてくる日本の実情、その一部を紹介します。

 なぜか、〈敵を殺さない、日本アニメ〉どうして、これ程に日本人は敵にまで優しいのか。中国では敵を殺すのは、当然なのに。これが日本なのか?〈無敵のヒーローも奥さんは恐い〉日本の文化では他国では考えられない程に女性に優しい、女性を大切にしていることへの驚き。〈命がけで女性を守る男たち〉も同様。実際の日本と国際的な評価とには大きな食い違いがあるという。

 日本にはマンガの世界の中にも言葉の“自己規制”があることへの驚きと疑問。そして、〈なぜ、「はだしのゲン」だけが許されるのか〉と彼は考えて次のように表現している。

〈 『はだしのゲン』の作中では、「きちがい」「パンパン」「朝鮮人」といった、現在では差別用語とみなされている言葉が多く使われています。にもかかわらず、『はだしのゲン』に限ってセリフに修正が施されていない理由は、読者の子供達に戦後日本に対する嫌悪感を植え付け、反体制的な思想を植えつけさせるための、左派系教育団体の陰謀ではないか、と僕は勘ぐっています。〉

 そして〈「平等」という名の左翼運動〉2018年8月、自民党の杉田水脈衆議院議員の「彼ら彼女らは子供をつくらない。つまり生産性がない」これについては「実際に寄稿文を読んでみると(メディアの)批判報道は一様に偏向したものであることがわかります。」と更に詳しく述べている。
彼の言う通リ、これは「従軍慰安婦の嘘」を国連に訴えている杉田女子を貶める、メディアの謀略との意見が多いのも事実。

 孫向文氏は、ここまで調べ日本を理解しているのである。マンガ家だからこそメディアの歪みを感じるのか。

〈対照的な村上春樹とカズオ・イシグロ〉の小説についての感想も興味深い。日本色のない、むしろ自虐的な村上春樹。他方、「私の一部は日本人です。」と誇りを持って自らを表現したカズオ・イシグロ。イシグロは正しく評価されノーベル文学賞を受けた。これについての彼のコメントは真に“美事”としか言えない。
〈「万引き家族」の登場人物は日本人とは思えない〉これについての感想も素晴らしい。登場した人物の“だらし無さ”と“みにくさ” 彼は“是枝裕和監督らは、恩を仇で返した”とまで言っている。世界に迎合して、日本人をむしろ汚く描いたこの映画は、彼にとってはとても許せないようである。彼にとって“日本人は自らの誇りを忘れた映画”と見えるようである。
彼は次のような文で締め(くく)っている。

―優れた作品を愛する僕にとって、数々の作品であふれる日本は天国のような場所です。そして、その日本に住みながら作品クリエイターの一員となっていることに、この上ない誇りを持っています。
 これからも、日本で素晴らしい作品が生まれ続けるでしょう。そして、日本で生れた作品は世界中の人々を魅了し続けるのです。最後にこのセリフを記して、この本を締めくくりたいと思います。

 「日本の作品は最高だ!」

中国人から見た美しい日本、不思議、危うさ、一読をおすすめします。      K・C

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