■放置してはならない情報弱国・日本

会員の主張・小論
岩手県本部 会員の主張・小論  令和2年12月29日

放置してはならない情報弱国・日本

会員名 N・S・Lee


 先日のK・C氏の小論「“誰にも言うな”と言ったF・ルーズベルト大統領」を読んで、改めてインテリジェンス無き日本、情報弱国日本を憂い、思うところを書いてみたい。

 我が国の国会の有り様は国を守る、国民を守るという使命感の欠落した「一年をモリ・カケ・花見」で暮らす良い先生方で占められているのではないだろうか。悲しいかな、国会において国を守るためのインテリジェンスについて論議が交わされたという話をついぞ聞かない。インテリジェンスと言う言葉すら知らない先生方が過半ではないかと憂慮されるのである。国防を考えるとき、GHQの押しつけ憲法によって正式な「国軍」をもてない現状を改めるべく憲法改正が一刻の猶予も許されないのは勿論だが、もう一つ、憲法に手を触れずとも出来る国防強化策としての情報機関の強化を切望するものである。

 2020年10月に他界したショーン・コネリー演じる007はMI6(英国秘密情報部)の諜報員であるとの設定は誰もが知るところであるが、世界中の国でそのような諜報、防諜活動をする機関(インテリジェンスコミュニティ)を持たない国は無いであろう。ちなみに英国のインテリジェンスコミュニティは1.6万人、予算3000億円、アメリカでは20万人、8兆円と推定されている。中国においては日本の多くの大学にも設置されている「孔子学院」はインテリジェンスコミュニティのごく一部であり、全体でどれほどの人員、どれほどの予算が使われているのか推定すら出来ないが、おそらくはアメリカに匹敵する規模であろう。

 翻って日本では公安調査庁、警視庁警備局(公安警察)、内閣情報調査室(内調)の3組織を合わせても5000人未満、1500億円未満とされ、お寒い限りである。かつて明石元二郎武官、金子堅太郎のインテリジェンスによって日露戦争に勝利したという実績のある日本、情報弱国からの脱却は喫緊の課題である。
台湾が武漢ウイルスに対して見事な水際作戦で制圧が出来たのも、インテリジェンスの賜物であることを付言しておく。

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