ウクライナ戦争で判ったこと

会員の主張・小論

           -1-             
ウクライナ戦争で判ったこと   R5,1,1
                    
 今、この戦争が世界を揺るがしている。この戦争を始めたのは、まぎれもないロシアのプーチン大統領である。彼はソビエト連邦崩壊の後のロシア内の混乱を手荒な方法でまとめて、ロシアをまとめることには寄与した。しかし、独裁者の色彩を強めたプーチンは結局、狂人的リーダーになったということである。彼はヒットラーととても良く似ている。ヒットラーも第一次大戦で敗戦し、自信を失っていたドイツの再興に成功したが、その成功体験に加速がついて、結局は狂気に走った。周辺国を敵にして戦い、ユダヤ人の抹殺を謀略し、末期になるとパリという古都さえ燃やして抹消しようとそれを部下に命じた。暫くして軍の上層部に〝パリは燃えているか?″と尋ねたのは有名である。しかし、軍の中には彼を〝ドイツの今後の為に危険である”として排除と抹殺を試みた良識の人はいたのである。残念ながら暗殺は失敗したが。
 承知の通り、レーニンがロシア革命に成功したのは1917年のことである。その後スターリンに引き継がれた。しかし、1991年にはソビエト連邦は崩壊し、ロシアを中核とした社会主義体制は、74年間で命運が尽きた。問題なのは、この74年も続いた社会主義体制のひどさである。スターリンは確かにドイツの戦いに勝ったが、彼の下で犠牲になったロシア人は2,000万人もいた。凄まじい大量の粛清もあった。
スターリンの死後フルシチョフはすぐスターリンの体制の批判を開始した。それは当然であった。
社会主義の下では、〝宗教はアヘンと同じ″でレーニンの時から宗教は徹底して弾圧をされた。
教会の聖職者は選挙権を奪われ、財産も没収され、布教も禁じられた。彼らは国家への服従を強いられた。スターリンの死後、指導者になった二キタ・フルシチョフも反教会キャンペーンを展開した。彼もマルクス主義者だったのである。ちなみにミハエル・ゴルバチョフも無神論者であった。
 こんな歴史の中でロシア人はどうなるのかーということである。宗教心がなければ道徳心もない。善悪もない。〝心に神がいない″のだから精神の荒廃が起きるのは当然である。宗教心の上にはじめて道徳、倫理が成り立つのである。残念なことにそれにロシア人の体質が重なった。だから、平気で噓を言う。約束を違える。そして人命に対しても残虐な国柄となった。
 フルシチョフはスターリンを嫌い、スターリンを批判したがプー
                           -2-

チンはそうではない。スターリンを信奉しているのだ。殺掠、残虐性を何とも思ってない。自分の死さえも恐れていないようである。この点はヒットラーの末期と同じである。狂人化している。ドイツ同様にロシアを滅亡に導いているとしか思えない。                          
 今回のウクライナ戦争を契機として判ったことは、世界の諸国は民主主義国家群と独裁者専制国家群として分かれたということだ。
ロシア、北朝鮮、イラン、ベラルーシ、ミヤンマー、アフリカ諸国、そして中国らは後者の国家群である。しかし、中国はロシアより更に強(したた)かである。プーチンに簡単には同調していない。中国はロシアの10倍の人口、GDPも10倍もある。しかし、ロシアには中国にない豊富な資源と食料がある。中国はロシアのうまい利用を考えている。中国の精神構造はロシアより上である。プーチンのように混迷してはいない。
 プーチンの今後の方向は明確であると思う。ロシアを滅亡させるか、暗殺されるか―それ以外にありうるだろうか?

 問題なのは日本である。エネルギー、食糧自給率は、先進国の中で最低である。
食料自給率38%を異常とさえ思っていない。土地の60%が砂漠であるイスラエルさえ食料自給率は70%とのこと。次第に人口が増え元は自給率がもっと高かったとのことである。
日本は〝自給率が低いことは日本にとって問題ではない。世界のどこからでも調達できる″と言ってきた総合商社の言い分を真に受けて、ロクな努力をして来なかった。今回、ようやく、それが問題であることを知った。
国防についても同様である。日本はアメリカに国防を委ねて自主防衛がいいかげんなままである。
ウクライナ戦争を見て、核を持たないことがいかに危険であることか、それを知った人も多いのではないだろうか?
それにしてもドイツに比べて、何と日本は対応が遅いことか。

 地球の人口は急増している。食料とエネルギーの奪い合いで戦争は起こりやすい。避難民はもっと増えて問題になるだろう。水の奪い合いさえ起こる可能性がある。
 日本にとって最も深刻なのは人口減である。この対策も失敗を重ねている。有効な対策を考えれないまま長い年月を無駄にしてきた。これが日本の経済を疲弊させている。人口が減り労働力が減ったら経済発展はないのだ。更に国の基本の憲法改正さえできていない。こんな国は先進国で日本だけである。

                            -3-

日本を支える根本の重要事項がいずれも危うい始末なのだ。
日本は文化的には、世界の中では輝くTOPクラスの評価の高い国である。しかし、日本の政治は失敗つづきである。日本には残念ながら安倍さんのように大局観のあるリーダーが仲々出ない。野党が余りも視野が狭くお粗末なことにも原因がある。
                                                   
ウクライナ戦争を見ても日本が目覚めないなら、日本は自滅するのみではないか。今だけ楽しんでいる今の日本は正に‶極楽のトンボ″のような様子である。先行きの心配は尽きない。
                           M・K

タイトルとURLをコピーしました